ある専門家は、「人間が生存しているということは、複雑な電気的変化の組み合わせである」とまで断言している。
それほど人間と電気というものは密接な関係がある。たとえば心電図は、人体に電極をつけて、心臓から発生する電気の変動を記録したものだ。また、スポーツ医学の研究に欠かすことのできない筋電図は、筋肉に発生する電気の変化を、脳波は脳の活動に付随して起こる電気の変化を、それぞれ記録したものである。
電気と磁気は、ある意味では表裏一体の関係にある。
そもそも私が「交流磁気治療器」の開発に成功したのも、旧電々公社の自動電話交換機の技術者として育ち、電気と磁石の関係を熟知していたからともいえる。
永久磁石の腕バンド、指輪、マットレス、腹巻きなどこれらの磁気治療器は、いずれも血液が、その小さな磁場を流れることによって作用が始まるわけである。
私は、永久磁石で効果があるのなら、私がやっていた電気の世界で磁場を起こしたら、もっと効果のあるものができるのではないかと考えた。
つまり、直流の電気を流すと永久磁石のようにN極S極しかできないが、家庭に来ている交流を流したら変動する磁場を起こすことができるのではないか、と考えたのだ。
そして、二つの電磁石をつくっておいて、片方にN極、もう片方にS極を同時に発生させて、この両方の間に磁気を飛ばして、それを体内に送り込んでやれば、血液が流れる流れないにかかわらず、体内に電気を起こすことができる。
人体というのは導体であるから、それは当然起こるはずだと考えたのが、最初の一歩だった。
試行錯誤の末、ついに交流磁気治療器の試作品が完成した。