私は、当初この「交流磁気治療器」を身内のものだけに使っていた。そして、その効果のほどをある程度つかんでから中川恭一博士に臨床実験をお願いしたのである。そして、治療器の臨床テストが進むにつれて、私が予想していた以上に効果の及ぶ範囲が広いことがわかってきたのである。

たとえば、てんかんという病気がある。

その症状は、急に意識を失って倒れ、全身のけいれんを起こすものから、意識は一時的に失うが、けいれんを全く起さないものまである。

てんかんの原因については、脳腫瘍や脳の損傷が原因になっている場合と、原因不明の真性てんかんと呼ばれるものがある。

中川博士と私が交流磁気治療器の臨床テストを進めていた昭和五十四年四月五日、中川博士のもとに、北海道から、ひとりのおばあさんが、九歳になる男の子の孫を連れて上京してきた。この男の子がてんかんだった。

おばあさんは、この子が四歳半過ぎから、てんかんの発作に見舞われ、現在は強い薬の力で押えているが、いずれ薬の副作用で体がダメになるのではないかと心配していた。事実、担当の医師は「あと三年も生きればいい方ではないか」といったという。

このおばあさんが中川博士を訪ねてきたのは、博士が磁気治療をやっているという新聞記事を読んで、まさに「溺れる者藁をもつかむ」心境で上京してきたのだった。

中川博士にとっても、てんかんは専門外のことで困ったなと思ったとき、ふと浮かんだのが治験中の交流磁気治療器のことだった。

そのとき私のもとには、試作品が一台あった……

博士は、おばあさんに、治療器の使用上の注意を懇切丁寧に教えて、その試作品を渡したのである。

その後、中川博士のもとに何度となくおばあさんから経過報告の手紙が寄せられた。

いずれの手紙も、寝つきがよくなった。食欲が旺盛になった等々の治療器の使用結果の良好なことが書かれてあったのである。

そして、中川博士のもとに寄せられた最後の手紙は次のようなものであったという。

以下『続・磁気健康法』 (実業之日本社刊) より……「(前略) 二年前新聞を頼りに、先生をおたずねしたことが、思い出されます。あの頃も、旅行から帰って体調をくずして、一ヶ月くらいフラフラしておりました。それで学校の先生からも苦情が出るし、三年生は特別クラスですねと申されまして、思い余って初めて一人で上京したのでした。誰の紹介もなくエライ先生が私のような田舎者にお会いして下さるか不安で、胸も頭も一杯でしたが、なんとしても孫を一人前の人間にしなければ死んだほうがまし、死んだ気になったらどんなことでもと思いました。(中略)

のびのび育つ孫を見て、いつも話しております。彼も間もなく五年生です。四年三ヶ月飲んだ薬の副作用もありまして、なかなかと思っておりましたが、今では他の子どもさんと変わりなく、日曜日には、朝、車で近くのスキー場に送っていき、夕方連れに行きます。リフトに何回も乗り、真黒になって遊んでいます。(以下略)」

担当の医師が、あと三年の命といっていた子供が、スキー焼けするほど元気に遊べるようになったのである。

私は、この手紙を中川博士から見せられたとき、この治療器は、たんに肩こりや腰痛だけでなく、難病の一種とされている脳の病気、神経系統の機能も高める効果があることを確信したのであった。

事実その後、中川博士は、知人の老母が八十歳を過ぎた頃から精神障害を起こして困っていたのを見かねて、交流磁気治療器を使って回復させた体験も、前述の著書の中で記している。

高齢化社会が到来すれば、この種の老人性の精神障害は激増する一方であろう。それはとうてい各個人の手に負えるものではない。いずれは社会問題になることは必至である。そうなったとき、私はこの交流磁気治療器の果たす役割が一段と大きくなることを確信している。

そして、努力に努力を重ねた結果、六年間の歳月を経て、交流磁気治療器はついに厚生省の認可を得たのだ。

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「磁気治療が好き!ー心にも体にも優しい免疫も高まるエネルギー療法」
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永野剛造先生 要明雄先生 川本和久先生にもご協力いただきました。
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