「痛みの専門家」として名高い仲野義康先生につらい「肩コリ」ついて語っていただきました。

 ■仲野義康(なかのよしやす)
昭和14年横須賀に生まれる。昭和39年三重大学医学部卒業・三重大学病院胸部外科入局。その後、東京白十字病院・北里大学病院麻酔科・国立療養所神奈川病院、麻酔科医長・横浜桐峰会病院を経て、昭和60年仲野医院開業。現在に至る。

犬や猫にも肩こりがあると言われます。
肩周辺の骨や筋肉の仕組みを理解すれば、
肩こりとは、体の構造的な問題であることが分かります。
腕や肩が自由に動くのは「肩甲骨」の働きによりますが、
これは他の骨と強く結びついている訳ではありません。
宙に浮いているようなイメージでとらえてください。
つまり「肩甲骨」という大きな骨は、主として周辺の筋肉が支えているのであり、
これがそもそも、肩こりの原因だと考えます。

さらに肩は、人間の重い頭を支えている「首」や、
頻繁に使い続けている「腕」と繋がっています。
具体的に言うと、「僧帽筋」と呼ばれる三角形の筋肉が、
これらを繋いでいるのです。
ですから肩こりは、肩だけで単独に起こっている症状ではなく、
これら全体のバランスの中で考えなければなりません。

体の仕組みから突き詰めていくと、
単純に肩こりは解決できないのですが、
日常生活において誘発する要因にも、様々なものがあります。


肩こりの原因の一つは、同じ姿勢を続けることがあげられます。
例えば仕事で一日中、パソコンに向かっているのは、体に良いことではありません。
2時間以上、同じ姿勢をとり続けるのは、いけないことだと考えてください。
人間の体は動かさないと、2時間で関節が固まりはじめるので、
これを意識して休憩を挟むようにしてください。


主な原因として、姿勢の悪さもあります。
理想は座禅を組んだ、あの姿勢であり、背筋をぴっと伸ばします。
骨盤を囲む寛骨の上に、頭が乗っているのが、人間の姿勢として正しいのです。
姿勢が悪いと、最初に述べた首から肩、腕へのバランスが狂い、
その歪みが結果として肩こりを招きます。

このほか、体の使い過ぎ(頭を除く)や、ストレスなどもあげられるでしょう。
ストレスは体が緊張状態にあり、余計な力が入っている訳ですから、
上手に料理する訓練が必要です。

ひとつ注意しなければならないのは、体が弱く、
十分な筋力がないことにより、肩こりを訴える人です。
例えば、太ももの内側の筋肉が衰え、膝痛を訴える人がいますが、
それとよく似ています。要するに、頭の重さを支えるだけの筋肉がないのです。
これは肩こりというより筋肉痛に近く、胃腸の働きを高めるなど、
体力をつける方向で治療しなければなりません。

内臓からくる肩こりもあると言われますが、
この場合は肩よりも、背筋に痛みを感じるはずです。
胃腸など内臓のツボは背筋部に集中しており、
ここが痛むことにより肩こりと感じることがあります。
この場合も、別の治療が必要になります。

骨と筋肉、全体のバランスからみた「肩」に続き、
次は「こり」とは何か、説明しましょう。
体の一部分が「こる」というのは、血液循環が悪くなって、うっ血することを言います。
東洋医学では淤血(おけつ)といい、これを取り除くことを、
駆淤血(くおけつ)と呼んでいます。
マッサージも駆淤血の一種で、循環の改善でリンパの流れを良くし、
淤血を取り除いているのです。

漢方には、いくつも駆淤血剤と呼ばれるものがあります。
私が肩こりの人に処方しているものを、参考までにあげておくと、
体力がある場合には桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)。
少し体力が落ちる場合には、四物湯(しもつとう)を使っています。
あとは筋肉をほぐすために、芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)を出すこともあります。
これは胃や足のケイレンにも効果があり、
緊張をとるなど、いろんな応用がきく面白い漢方薬です。

肩こりの症状が進むと、手にしびれを感じることがあります。
手がしびれると、脳の血管を心配する人が多く、すぐに検査を受けたりしますが、
原因は肩こりということも少なくありません。
もちろん、早めに検査を受けるのは大切です。
ただ、CTやMRIの検査には高額な費用がかかっています。
無駄な医療費を使わないという点からも、肩こりの治療には重要な意味があります。

自分の手を使い、相反する力で筋肉を刺激します。
押すに対しては、引っ張る力。左と右で逆の動作をします。

首周辺の筋肉を鍛える
おでこに手を当てて、首で前へ押す力を受け止めます。同様に後ろ側を押さえる。
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頭の左側、右側、首のまわり全ての筋肉を鍛えましょう。
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バランスを元にもどす
いつも前かがみの生活で、狂った体のバランスを元にもどします。
体の前に手を組み、左右へ引っ張ります。
しばらくやったら、手を組み替えて、同じ動作を繰り返します。
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どこらが適当なのか自分で探す

漢方では、体をお金持ちにしようとは考えません。
何かを増やすのではなく、「中庸」というバランスのとれた状態に、
体を戻そうというのが基本的な考え方です。

例をあげて説明しましょう。
五苓散(ごれいさん)は、下痢にも嘔吐にも効く漢方薬です。
西洋医学には、こういう考え方自体が、そもそも存在しません。
五苓散を一言でいえば、水バランスを整える漢方薬です。
だから、下痢と嘔吐のどちらにも使える訳です。

交流磁気治療器も、発想は漢方と同じだと考えています。
常に体をもとに戻してくれる、つまり中庸の状態においてくれる訳です。
西洋医学における血圧の薬を考えてみてください。
下げる薬はどこまでも血圧を下げ、上げる薬はどこまでも血圧を上げます。
薬が適当な血圧に保ってくれるという発想はありません。
交流磁気治療器は、ただ一方的に上げるとか、
下げるといった方向に作用するのではなく、あくまでも中庸をめざした治療法だと思います。

中庸というのは、体のことだけでなく、生き方全般にも関わります。
「適当」というのは、とても難しい言葉で、
自分でどこが適当なのか探さなければなりません。
例えば、お金で考えてみましょう。
お金をたくさん持っていれば幸せというものではない。
それは皆さん分かっていることです。
お金は適当に使い、適当に稼ぎ、適当に残すべきものです。

小さい頃から生き方を考え、適当とは何かを学ばなければなりません。
これは高校生くらいまでに身に付けておくべきであり、教育の役割なのです。
日本人はハウツーもの、つまり方法論が大好きです。
しかし本来は、その根っこにある生き方や、考え方を学ばないと意味がありません。
それを理解せず方法論だけ知っても、発展や応用はできないのです。
根本の考え方を理解すれば、方法論などはいくらでも自分でつくれます。

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個人情報に関して適用される法令を遵守しています。喜びの体験談はご本人の同意の上採用させていただいておりますが、万全を期して個人を特定できないように仮名にて掲載させていただいております。個人の感想です。

肩こりの背後に潜んでいた大病
急激な体重減から連続して手術


K.I.さん(仮名 63才)
東京都中野区在住

K.I.さんの肩こりは、ご本人が異常なほどパンパンに張っていたと言うくらい、ひどい症状でした。いまから10年以上前のことですが、その当時、建築事務所でお仕事をなさっていた今田さんは、無類のお酒好きでもありました。肩こりの前に、まずは当時の生活習慣から聞かせていただきました。
「お酒の量は半端じゃなかったですね。営業から戻ってきて、事務所で図面を書くのですが、そのときにウイスキーのボトルが1本空きます。それから職場のみんなと飲みに行って、そこでもう1本空けます。少なくとも、毎日ボトル2本は、必ず飲んでいました。日本酒なら5〜6升は軽くいけましたね。どれくらい飲めるのか、今日は勘定してみようなんて言いながら飲むんですが、なにせ底なしですから、数えても意味がないんです。そもそも限界がないんです。もちろん体に良い訳がなく、糖尿病の兆候もあって、食事療法を勧められていました。いくら先生に言われても、そんなのはお構いなしで、当時はまったく反省するつもりはありませんでした」
こんな生活が6〜7年続いたというK.I.さんですが、不摂生は十分に自覚していました。単なる肩こりではなく、アルコールが原因で、内臓からきているのではないかと考えるようになります。マッサージを受けても、まったく効果がなかったという頑固な肩こりを、K.I.さんはこんなふうに説明してくれました。
「はじめは運動不足かなと思ったのですが、何をやっても治らないんです。背中から肩にかけてカチコチで、自分で触っても鉄板のように硬くなっているのが分かりました。肩甲骨もガチガチに固まってしまい、肩を回すこともできません。原因はアルコールくらいしかないので、肝臓あたりがおかしいのかなと思っていました」
知人の紹介で、K.I.さんが最初に交流磁気治療器を知ったのは平成7年でした。肩こりがひどくなったこともあり、平成9年に入った頃から、本格的に自宅でも使うようになったそうです。そのときの感想を、今田さんはこう語ってくれました。
「何をやっても効果を感じないのですが、交流磁気だけは、かけているときに気持ち良く、すうっと楽になったのです。悩まされていた肩の違和感がなくなり、精神的にも開放されたような気分になりました。細かい仕組みは分かりませんが、磁気というのは面白い治療法だなと思いました。でも、完全に肩こりがなくなった訳ではありませんでした。今になってみれば、もっと大きな原因があったのだと分かるのですが……」
原因がみえはじめたのは、平成9年のゴールデンウィークです。その年の3月から4月にかけて、わずか1カ月の間に、K.I.さんの体重は4㎏も減ってしまいます。きちんと診てもらおうと考え、今田さんはゴールデンウィークを利用して、検査入院することにしました。
「とうとう来たなと思いましたよ。糖尿病を放っておいたから、ついにひどくなったと思い、知り合いの医者にベッドを空けておくよう頼みました。検査してもらったら、やっぱり大変な数値になっていて、どうして早く病院に来なかったのかと怒られました。入院中は食事をはじめ、すべて医師の指示に従いました。すると10日くらいで、正常な数値に戻ったのです。これで退院できると喜んだのですが、まだ2日くらい時間があったので、ついでに全部診てもらおうと思い、いろんな検査を受けました」
入院の端緒をこう振り返る今田さんですが、実際にはここからが大変でした。検査の結果、胃にガンが見つかったと言うのです。退院どころではなくなり、今田さんは呆然とする時間もなく、3日後に開腹手術を受けることになりました。
「もし糖尿病をやっていなかったら、ガンは見つからなかったと思います。あと3カ月発見が遅れたら、助からなかったかもしれません。人間の寿命は、不思議なものだなと思いました。でも私にとっては、ここからが一番辛かったです。今度こそ退院だと思っていたときに、また大変なことが起きました」
術後1週間が経ち抜糸をした頃、今田さんの口が開かなくなりました。入院した病院には歯科もあったので受診したところ、上下すべてが歯槽膿漏だと分かりました。またしても、すぐに手術を受けることになり、合計で7カ所を切開。ご飯も食べられず、さらに2週間ほど入院が伸びてしまいます。
「胃の手術は痛いも痒いもなかったのですが、歯は本当に大変でした。もともと歯だけは自信があって、栓抜きがなければ、ビールの栓を歯で抜いていたほどです。先生の話では、大病や大手術をしたあと、自分の強いところに、症状が出ることもあるそうです。それにしても、歯槽膿漏には一番悩まされました」
糖尿病からはじまり、胃ガンの発見、そして歯槽膿漏と、結局は1カ月以上の入院となってしまった今田さん。退院したときには、かつて67㎏あった体重が、10㎏以上も落ちていました。すぐに仕事へ復帰する訳にはいかず、まずは失った体力を、取り戻さなければなりませんでした。
「ずっとベッドに寝ていたので、自分でも足腰が弱っているのは分かるんです。とにかく歩かないと駄目だと思い、ゴルフ場に行って、一緒について回らせてもらいました。何をやってるんだと笑われましたけど、親指くらいのお握りを20個ほど作って、それを食べながら歩くんです。胃も小さいし、歯も悪いので、そんなお握りしか食べられないんです」
退院してからは、家にあった4台の交流磁気治療器も積極的に使いました。K.I.さんは手術をしたお腹にあてたり、疲れた足にあてたり、気になるところを中心に治療するよう心がけました。
「ゴルフ場を歩いているうちに、少しずつ体力の自信が甦ってきました。これなら大丈夫だと思い、しばらくしてゴルフのプレーもできるようになりました。ちょうど、それくらいから、まったく肩こりを感じなくなったのです。私の場合、大きな病気が肩こりの原因だったと思います。今でも交流磁気治療器を使っていますが、肩の方はまったく快調です」
K.I.さんのお話からも分かるように、たかが肩こりではなく、大病のサインということもあります。しっかりと肩こりについて理解したうえで、日常生活から、その原因を探っていくことが大切だと感じました。

交流磁気治療の本!2013年1月25日発売

アマゾンからご購入いただけます。

「磁気治療が好き!ー心にも体にも優しい免疫も高まるエネルギー療法」
日下史章先生 上村晋一先生著
永野剛造先生 要明雄先生 川本和久先生にもご協力いただきました。
コスモの本より  1200円+消費税