交流磁気治療を中心に、食事や毎日の生活習慣、心のあり方などを含めて、総合的な健康創りをシリーズで考えています。日下医院の院長、日下史章先生にいくつか関心の高い症例を取り上げ、健康や医療を見つめ直していきたいと思います。今回は「高血圧」について、お話しいただきました。

■日下史章(くさかちかあき)
昭和16年神奈川県生まれ。東京医科大学を卒業後、東京警察病院外科に入局。5年間勤務したのち、日下医院を開設した。平成2年に磁気医学物理療法研究所を併設。8年には「帯状疱疹後神経痛(PHN)に対するパルス磁気療法及び全身性交流磁気治療の試み」で、医学博士号を取得している。

日本人は体質的に高血圧になりやすいと言われます。 国民の35〜45%、約3000万人が高血圧患者といわれ、症例数が最も多い生活習慣病です。 にもかかわらず、分っているようで、意外と 正しい血圧の知識を持っている人は少ないと感じます。 まずは基本的なところから説明しましょう。
心臓はポンプのように、絶えず収縮と拡張を繰り返し、全身の血液を循環させています。 心臓が縮んで血液を全身へ送り出すとき、動脈の内壁にかかる圧力を 収縮期血圧(最高血圧)といいます。 逆に心臓が開いて血液が戻るときの圧力は 拡張期血圧(最低血圧)といい、この2つの数値で血圧を表現しています。 両方とも高い人、最高血圧だけが高い人、最低血圧だけ高い人もいますが、 いずれの場合も高血圧症として注意が必要です。
高血圧と診断される基準は、最高血圧が140mmHg以上、 最低血圧は90mmHg以上が目安とされます。 これは安静にした状態で、座って血圧を測ったときです。 立ったとき、寝たときでは血圧が変わるので、実際の治療では いろんな姿勢で測定することもあります。
よく貧血の患者さんから、「血が少ないので低血圧なのでしょうか」 と質問されます。 しかし、血液の量だけで血圧が決まる訳ではありません。

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上の図に示したように、4つの因子が複雑にからみあって、 血圧が高くなったり、低くなったりしているのです。

高血圧には2つのタイプがあります。

一つ目は本態性高血圧と呼ばれ、原因が特定できないものです。
このタイプが、実に高血圧患者の9割以上を占めています。
生活環境の影響や、遺伝的なものが関与していると考えられています。
軽い高血圧であれば、薬を飲む前に、まず生活態度を見直します。

例えば軽い運動をはじめたり、体重を落したり、減塩や禁煙、節酒、
ストレス解消に努めることで、20mmHgくらい血圧が下がることがあります。
それでも不十分な場合、お薬を使うことになります。
ホームドクターと相談して、なるべく緩やかな降圧剤から開始した方がいいでしょう。
血圧の薬も、最近は一生飲み続けるものではなくなっています。
医師の指示に従って、例えば血圧の上がりやすい冬場は飲んで、
温かくなると少し控えるといったことは可能です。
ただ、自分勝手に止めたり、飲みはじめたりするのは一番良くありません。
意味もなく血圧が変動し、血管に負担をかけます。

もう一つは他の病気が原因で引き起こされる二次性高血圧です。
例えば、糸球体腎炎など腎機能の低下による「腎性高血圧」、
腎動脈硬化症による「腎血管性高血圧」があります。
腎臓は極めて血圧との関わりが深い臓器です。
このほかにもホルモンの異常による「内分泌性高血圧」や、
大動脈炎症候群などによる「大血管性高血圧」もありますが、
このタイプは原因となる病気を治療すれば、血圧も下がっていきます。

全身に交流磁気を使うのは、補助的な治療として有効です。
当院の外来を訪れる高血圧の患者さんに、30分ほど交流磁気治療を行い、
直後に血圧を測定すると、ほとんどの方は10〜20mmHgくらい血圧が下がります。
これは血圧をコントロールする自律神経の循環調節システムに、
磁気刺激が直接的に作用するからです。まず頭部への刺激は、血管運動中枢に作用し血管の緊張度を調節、正常血圧を保つように働きます。

全身性の磁気刺激は、心臓の拍出量および腎血流を安定させるだけでなく、
末端の小動脈でも血管平滑筋の働きを調節し、抹消血管の抵抗性を正常化してくれます。
動物実験でも確かめられており、これも血圧を安定させる効果があります。
また、自律神経が安定することで、日常のストレスを最小限に抑えることも期待できるでしょう。

血圧が高いと、背中から首がはったり、頭痛を訴える人がいます。
患者さんは、この痛みを何とかして欲しいとおっしゃいますが、
高血圧で気の流れが滞っていることが多いのです。ですから当院では、
交流磁気をかけたあとに、電気バリなどでツボを刺激してあげます。
交流磁気だけでとれる人もいますが、ハリを使ってあげるとさらに効果がでます。

高血圧は血管障害や動脈硬化を誘発し、やがては心臓病、
脳卒中、腎臓病といった致命的な合併症を引き起こします。
何といっても日頃から、高血圧にならない心がけが大切です。

まず注意するのは塩分の摂り過ぎ。日本人の塩分摂取量は
1日平均12gと言われますが、高血圧の方は6〜7gまで制限する必要があります。
肥満も大敵です。
適度な有酸素運動を最低30分、週に3回くらい行うようにすれば、
脂肪や糖を燃やし肥満を予防します。体重が落ちれば、血圧も下がります。

睡眠不足もいけません。すぐに血圧が上がります。
生活のリズムを整え、しっかりと休息をとるようにしてください。
高血圧の人がタバコを吸うと、心筋梗塞や脳梗塞になる割合が2〜3倍に上昇します。
逆にお酒は、適量なら血管を拡張させ、血圧を正常にしてくれます。
アルコールの許容範囲は30gとされ、日本酒なら1日1合、ビールは大瓶1本、
水割りなら2〜3杯が目安です。

まめに水分をとることも大事な習慣です。
朝方に多い、脳出血や脳梗塞の発作を防ぐと言われます。
人間の体は、夜寝ているときに1リットルくらいの水分が蒸発してます。
水分がなくなると血液の粘り気が多くなり、血管が詰まりやすくなるのです。
とくに電気毛布を使う人は要注意。体を乾燥させて、余計に水分が蒸発します。

高血圧の方は、お家の中にも危険が一杯です。
例えば、寒い冬場のトイレ。前立腺肥大や便秘などで、力を入れ過ぎるのは良くありません。
脱衣場も危ない場所です。
寒いところで服を脱ぎ、急に熱いお風呂に入ると、血圧が一気に30〜50mmHgくらい
上昇することがあります。

高血圧に限らず、まずは病気の仕組みをよく理解することです。
簡単に分かったと思い込まないで、なぜそうなるのかを知らなければ、
治すことはできません。とくに高血圧はいろんな原因が重なって、症状が出てきます。
自分の生活習慣がつくる病気ですから、よく理解すれば、症状の悪化を防ぐこともできるのです。

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「磁気治療が好き!ー心にも体にも優しい免疫も高まるエネルギー療法」
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永野剛造先生 要明雄先生 川本和久先生にもご協力いただきました。
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