今回は大沢眼科の大沢満雄院長にご登場いただきます。
まずは先生のプロフィールを語っていただくとともに、
増加の一途をたどっている目の成人病について、基本的な知識を教えてもらいました。

昭和15年、東京の小石川で3人兄弟の長男として生まれました。
間もなく戦火が激しくなり、母の実家がある和歌山県富里村へ疎開。
実家は林業を営みながら、代々伝わる漢方薬や目薬の研究をしていました。
まだ健在だった祖父から、大阪大学の外科教授をしていた弟が、
日本で初めて盲腸の手術をしたのだと聞かされました。

医師の多い家系でしたが、先祖はもともと僧侶であったらしく、
600年以上も前、紀州根来寺の林秀慈眼和尚(天文6年生まれ。
3代将軍足利義晴の頃目薬の製法を学び全国を行脚)より伝わる系図と、
「医書」がありました。当時、この漢方薬は霊薬として知られ、
実家には多くの眼病患者が訪れていました。
昔から家伝薬は一子相伝です。母方の兄弟は戦死しており、
薬を引き継ぐ者は、孫にあたる私しかいませんでした。

こうした訳で、医師になることが運命づけられていた私は、
昭和41年に東邦大学医学部を卒業したあと、慶應大学眼科に入局。
国立東京第二病院や川崎市立病院で、勤務医として緑内障の研究、
および臨床技術の習得に力を注ぎました。
手術の方法や手術器械の改良などで実績をあげたのち、
昭和53年、東京池袋のサンシャイン60の7Fに開業しました。

私のクリニックでは、最新の医療技術や、さまざまな治療法を取り入れてきました。
そのいくつかをご紹介しましょう。
開業当時、白内障や緑内障は入院手術が常識でした。
しかし、医療先進国アメリカでは、入院費の高さや技術の進歩によって、
日帰り手術が始まっていたのです。
私は十分に準備をして、安全性を確認していたため、
開業と同時に白内障の日帰り手術を開始しました。
医師会からは無謀だと批判もありましたが、順調に手術の症例は増加していきました。

さらに11年前には、白内障に最先端の手術を取り入れました。
小切開無縫合水晶体手術と呼ばれるものです。
角膜を3ミリのダイヤモンドで切開し、ここから超音波で水晶体を細かく砕いて吸引、
柔らかい人工レンズを折りたたんで挿入します。
傷口を縫う必要はなく、患者さんへの負担を軽減しました。
また、2年前からは、手術をしないで近視を矯正するオルソケラトロジーも開始。
アメリカで最も歴史と信頼性があるコンテックス社のレンズを使い、
95%以上の成功を収めています。

常に最新鋭の治療や機器を導入するだけでなく、伝統的な療法も力を入れてきました。
昭和61年から、著名な中医である菅沼栄先生と、
免疫学で世界的に知られる高橋秀実先生を招聘し、
同時進行のユニークな漢方治療を行っています。
中医学による診断、治療、投薬を中心に、西洋医学的なアプローチも行っており、
理想的な中西合併治療をめざしてきました。

もう一つは、40年ほど前からヨーロッパで、とくにドイツで発展してきたオゾン療法です。
最近になって、100歳近くまで長生きしたエリザベス皇太后が、
オゾン療法を行ってきたことが分かり、イギリスでブームになっています。
免疫力や血液循環の改善、強力な殺菌作用、鎮痛、消炎、創傷治癒の促進など、
幅広い治療効果で注目されています。
私は日本医療・環境オゾン研究会で医療分野担当理事も務めており、
長く治療と研究を行ってきました。
オゾン療法は、いま代替医療の世界でも注目されています。

こうした中で、私は交流磁気治療もいち早く取り入れていました。
その経緯やどんな効果をあげてきたのか、お話したいと思います。
開業したばかりのころ、近視治療に効果があるといわれていた「目のツボ」を、
湿性導子を使って、弱い電流で刺激する経皮通電療法で実績をあげていました。
新聞に取り上げられたこともありましたが、私はもっと効果の出る方法を探していました。
そんなとき偶然、交流磁気治療器の存在を知り、
開発者の石渡弘三氏とお会いすることになりました。
まだ厚生省の認可がおりて、3〜4年ぐらいだったと思います。

開発の経緯や、治療器にかける石渡氏の自信と情熱に、とても感激したのを覚えています。
また、いすゞ病院の中川恭一先生や大澤正明氏には、
磁気治療について、いろいろ教えていただきました。
石渡氏は眼科専用の治療器を何回も試作し、
数々のご指導やアドバイスをいただいたことに感謝しています。
その後も改良を重ねながら、治療に応用して現在に至っています。

これまで治療に使ってきた経験から、交流磁気に
①眼の疲れをとる
②眼の炎症を鎮め痛みを和らげる
③出血の吸収を早める
――といった働きがあることが分かっています。
白内障や緑内障、硝子体の混濁、網膜疾患をはじめ、
たくさんの眼の病気に効果がありました。
こうした内容を説明し、現在は来院される患者さんのほぼ全員に、
眼の交流磁気治療を無料で行っています。
また、すべての病気は全身の部分症状であり、
全身を治療することにより局所症状も改善されるという考えから、
8Fに設置した「鍼灸物療室」で、全身の交流磁気治療も行っています。

私と病院の紹介に続いて、眼の病気についてお話しましょう。
今回は具体的な症例の前に、どうしても知っておいて欲しい眼の老化について説明します。
加齢によって体の機能や体力も低下しますが、目の働きも同時に落ちてきます。
体力の低下は栄養や運動などである程度遅らせることはできますが、
最も早く自覚するのは目の調節機能の低下と言われます。
その原因や仕組みを、上の図に示しておきました。

老眼は最初、目がかすみ、近いところを見ると疲れるという症状から始まります。
一般に30センチ以上離さないと新聞を読みにくいという場合は、老眼と考えられます。
初めのうちは、水晶体の弾力が残っているので、
無理をすれば何とかピントが合わせられるため、目が疲れてしまうのです。
次の段階は、明るいところで見えても薄暗いところでは細かい字が見にくい。
更に進むと、読書するとすごく肩が凝ったり、ひどいときには頭痛がします。
こうなると限界です。

こんな症状が出たとき、安易に老眼鏡をかけるのはやめてください。
この老眼かなと感じたときこそ、目の成人病が起こり始めているのです。
脳に障害が起こっている可能性もあります。
従って必ず、自己診断しないで、専門医の診察を受けてください。
緑内障や白内障も、やはり早期発見が重要なのです。

人間の目は、遠くから一瞬にして近くのものにピントを合わせられる。
カメラのレンズに相当する水晶体が、厚くなったり薄くなったりすることで、
それぞれの距離にピントを合わせている。
水晶体の厚さを調節するのが、目の中にある毛様体という筋肉。
虹彩(茶目)の裏側にリング状にあり、くもの糸よりも細く、
丈夫な繊維が水晶体を吊り下げている。
毛様体の動きにより繊維が引っ張られると水晶体は薄くなり、
繊維が緩むと厚くなる。この機能を調節と言う。
若い頃は水晶体と毛様体によるピント調節がスムーズに行われるが、
老眼になるとうまく働かなくなる。
その原因は水晶体の弾力が低下してくるため。
水晶体は蛋白質と水分を失って硬くなり、
次第に弾力が低下してくる。

交流磁気治療の本!2013年1月25日発売

アマゾンからご購入いただけます。

「磁気治療が好き!ー心にも体にも優しい免疫も高まるエネルギー療法」
日下史章先生 上村晋一先生著
永野剛造先生 要明雄先生 川本和久先生にもご協力いただきました。
コスモの本より  1200円+消費税