今回は仲野医院の院長、仲野義康先生にご登場いただき、「認知症」について語っていただきます。

■仲野義康(なかのよしやす)
昭和14年横須賀に生まれる。昭和39年三重大学医学部卒業・三重大学病院胸部外科入局。その後、東京白十字病院・北里大学病院麻酔科・国立療養所神奈川病院、麻酔科医長・横浜桐峰会病院を経て、昭和60年仲野医院開業。現在に至る。

私は長年に渡って在宅医療に取り組んできたため、
さまざなま「老い」を、患者さんのすぐ傍で見てきました。
痴呆に関する本はたくさん出ているので、一般的な知識を知りたい人は、
そちらを読んでください。
CTで頭の中を検査するだけでは、この病気は理解できないと思います。
在宅医療を選んだ患者さんの主治医として、生々しい体験をしてきた立場から、
痴呆に対する私なりの考えをお話します。

まず、痴呆老人が増えているというふうに思っている方が多いかもしれませんが、
基本的には長生きするようになったから、痴呆症も増えたと考えた方がいいでしょう。
かつては痴呆になる前に、ほかの病気で亡くなっていました。
昔は長生きできた、ある意味で幸せな人しか痴呆になれなかった訳ですが、
今は人生の最後まで、きちんと見ることができる時代になったと言えます。

そういう意味では、痴呆症は人間が最後にかかる病気と言えるでしょう。
私自身は、痴呆になるのか、ならないのかは、人生最後の試験だと思っています。
それまで生きてきたことが、最後の最後で試されるのです。
幼少の頃に受けた教育から始まり、どのように老いを迎えていくのか…。
その長い道のり、つまり生き方を問われるのが、痴呆症だと考えます。

私が在宅医療をやっていて、90歳近くになっても頭がしっかりしている人には、
いくつかの共通点があると感じています。
まず一つ目、「賢い人」は痴呆になりません。
しかし、「偉い人」ほど痴呆になることが多いのです。
この違いが分かるでしょうか?

「賢い」というのは、簡単に言えば、自分の限界が分かっている人です。
だからいくつになっても、常に勉強をし続けます。
勉強しているから、段々と賢くなっていく訳です。
「偉い」というのは、その逆で自分の限界を分かっていないこと。
他人を見下して、自分の殻を壊せないでいる人ほど、ひどい痴呆になることが多いと思います。

両者の違いがどこにあるかというと、親から教えられたこと、
つまり教育の影響が大きいのです。
単に記憶するのではなく、工夫したり、考察したりする習慣を、
小さな頃から身につけている人は、老いても生き生きとしています。
いくつになっても頭を使い続けるのは、痴呆との関連でみても、とても大切なことです。

もう一つ共通点をあげるなら、短期記憶が良くない人、
いわゆる物忘れの激しい人です。
こう言うと、忘れるのはやっぱり悪いことと思われるかもしれませんが、
実際は逆で、私自身はとても良いことだと考えています。
短期記憶が良くない人は、往々にして今を楽しんで生きています。
人を見下したりせず、その場限りで、くよくよと思い悩むこともありません。
ただ、まっすぐと、前を向いて生きている人です。

生きるというのは、過去に固執しないことだと私は思っています。
忘れるというのは、人間に備わった素晴らしい能力なのです。
もし何もかも覚えていたら、とても生きてはいられません。

賢い人、忘れる人というのは、素晴らしい笑顔を持っています。
医者は患者さんの顔を診るのが仕事だと思っていますが、それほど顔は正直なのです。
顔に書いてあると言うくらいで、生きてきた証がすべて表れます。
だから、50歳を超えたら、みんな自分の顔に責任を持たなければなりません。

痴呆症の根本的な治療法は見つかっていません。
治療がないのなら、できるのは痴呆症にならないよう、
予防することしかありません。

これについても、いろんな本が出ていますが、
私は交流磁気治療も有効な予防の手段になると考えています。

要は脳動脈の血流が悪くなって、いろんなところがつまってくるから、
痴呆の進行が早くなるのです。
それを予防する効果は、交流磁気治療器に十分あると思います。
アルツハイマーの場合は、脳の一部がアポトーシス(細胞の自殺)を起こし、
萎縮することによって起こりますが、それも十分な血流があって栄養が届けば、
進行の具合は変わってくるでしょう。

私は以前から、交流磁気治療器の大きな特徴を、
「脳にさわれること」と言ってきました。
副作用がなく、脳の血液循環に作用できるのは、今のところこの治療器しかありません。
そういう意味でも、交流磁気が痴呆の予防に効果をあげてくれることを期待しています。

痴呆症という病気で問われているのは、最初に申し上げたように、
あなたがどう生きてきたかということです。
人生最後の試験に合格できるかは、生き方を変えられるかにかかっています。
交流磁気治療器を使うのか、使わないのかも、その人の生き方です。
間違っていれば、いつでも変えられる素直さが求められます。

人生の試験は、何も痴呆症だけではありません。
例えば、更年期障害というのも、同じような試験だと私は考えています。
50歳から顔に責任を持てと言いましたが、ちょうどこの頃、
女性は閉経を迎え、子育ても一段落します。
そのとき一人の女性として、心豊かに生きていれば、
気が落ちることもなく、更年期障害にはならないものです。

脳細胞が再生するというのは、スウェーデンの学者が偶然に発見したと言われています。
痴呆にならないのは、すなわち脳細胞が再生しているということですが、
それは最初に申し上げたように、何事にも前向きな人、そして常に頭を使い続けている人です。
ワクワクするような好奇心を持って、素晴らしい笑顔で人生を楽しむことができれば、
あなたもきっと「華のある老い」を迎えられるでしょう。

私たち人間にとって、年齢を重ねる意味とは何でしょうか。
単に生き続けるのは、生物としての生き方です。
人間は古き物、伝統を大切にします。日本人はまさに、その能力を持った民族です。
考えたり、想像したり、しかも単なるお茶飲みから、茶道にまで高められる。
これは素晴らしいことなのです。

私の性格は自分の本質と考えるようになれば、そこに好奇心や新しい発見、
性格への洞察が生まれてきます。ある神経質な人がそれに気付き、
今は哲学者として教授をされています。
未来への希望や想像力を育み、60歳には、60歳しか味あうことのできない人生があるはずです。
70歳、80歳になったら、それぞれにしかできない、
素晴らしい人生があるのではないでしょうか。
老化の症状の中にこそ、人生の智慧が詰まっています。
これを誇りとして、生きていくことにしましょう。

在宅医療ではとくに、痴呆になった本人よりも、家族へのフォローが重要になってきます。
当然、みんな不安を感じるので、まずはどう対処していけばいいのか、
ヒントを教えるようにしています。

家族が痴呆症になると、それまで自分が持っていたイメージだけでとらえ、
必要以上に落ち込むことが多いと思います。
この病気については、正確な情報が不足していて、そのギャップが不安を膨らましています。
まずはマスコミで繰り返される、暗いイメージだけにとらわれないようにすることです。

もう一つは、痴呆症をサポートする、さまざまな社会資源を有効に活用していくことです。
私は家族の状況に応じて、最も適した制度を使うようアドバイスしています。
例えばショートステイを利用するなら、その施設まで実際に足を運んでみます。
使えるものは何でも使うという姿勢、そして本当に家族を預けて大丈夫なのか、
自らの目で確認することも大切です。

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