初めての子供が生まれる。

その日を待つ心のときめきは、五十年たった今でもはっきりと思い出すことができる。天にも昇るうれしさの反面、いいようのない不安・・・五十年前、そんな揺れ動く思いで私は子供の誕生を待っていた。

「おぎゃー」と生まれた息子は四千gを超える丸々とした元気な赤ちゃんだった。一家中が喜びに沸き立った。

 どこにでもある幸せな家族・・・たったの一ヶ月しか続かなかったけれど・・・。

悲しみは、ささいな予兆から始まった。生後三十七日目、息子は高熱に見舞われ、夜中にピクビクけいれんを始めた。

近所の医者に連れていくと風邪という診断で、熱冷ましの注射を打ってくれた。その結果、熱は下がったのだが、しかしけいれんは一向におさまらない。

今でこそ、けいれんは全部脳に関係があるということがわかっているが、当時はそんなことは医者にも、まして素人の私にもわからなかった。

それから病院を転々とまわったが、どこに行っても原因がわからない。そこで再び、私の勤務先関係の病院に行ったのである。小児科の医者は、「脊髄から水をとってみよう」といって、その水を調べた。その水の色は明らかな出血を示していた。発病から一週間目のときである。

息子は四十日ほどの入院で命は取り止めたものの、左半身に麻痺を残し、言語・知能障害、それに一日数回、呼吸が一時止まるほどのけいれん発作が後遺症として残った。

現在では、生後間もない赤ちゃんの脳出血は、ビタミンKの不足ということがわかっている。それでも健全に生れながら、一ヶ月前後で脳出血を起こす赤ちゃんは、今でも毎年五〜六百人いるそうである。そのうち三分の一は亡くなり、三分の一は元気になり、残りの三分の一は、私の息子同様に重い後遺性に悩み苦しんでいる。誕生直後と一ヶ月後に小さじ一杯のシロップを飲むことで予防できる病気だ。その知識がなかったから、私と妻は、終わりのない後遺症との戦いに挑むことになった。

少しでも良くなればと病院を転々としたが、検査、検査の連続で息子の身体を苦しめるだけ、結局どこへ行っても、治療方法は抗けいれん剤とリハビリしかなかった。抗けいれん剤は、薬を増やせば身体がくたくたになる、かといって減らせば連続の発作を起こしてしまうという厄介な薬だ。薬の副作用が次々と息子の身体を蝕んだ。

まず全身に及ぶ湿疹やおでき、何日もなにも食べられなくなるような食欲不振、イライラからくる錯乱状態等に悩まされるようになった。全身がやせ細り、体は化膿のうみだらけ、暴れて自分自身を傷つけるため、あざや傷も消えることがない。

あまりに暴れ方がひどいので、時にはひもでしばって、それ以上自分を傷つけないようにもした。

このような状態の時にけいれん発作が起こり、万が一のことがあったら、「まるで家族で虐待していたみたいね」と、妻はやりきれない思いを口にした。

西洋医学で張りめぐらされた現代医療行政のもとでは、新しい健康法や治療法の可能性をどんなに叫んでみても、所詮は蟷螂の斧かもしれない。

生後三十七日で脳出血を起こした長男、手術の失敗、失敗で計四回も開腹手術をされた妻、そして自分自身の糖尿病。もし、あのとき現代医療に身を任せたままだったら、私の一家は全滅するところだった。

そうしたまさに身を切るような思いから出発し開発した交流磁気治療器も、多くの先生方のご協力により長い臨床実験を経て、厚生省の認可を得ることができた。この治療器をなんとか全国の家庭に定着させて、病気に苦しむ不幸な人を、一人でも多く救っていきたい。そんな思いの中で、私は普及活動を続けてきた。

老人のたわごとと言われても、素人が何を言うかと笑ってくれてもいい。幸いなことに同志は増え、全国に展開しつつある健康創りの愛の輪が、少しずつではあるが広がりつつある。これらの同志のためにも、私たちの歩んできた道を書き残し、次代への贈りものにしたい。そんな思いを込めて、本書を著した次第である。

この話をお読みになった方々にとって、真の健康について考えていただく糸口になれば、私としてはこれに勝る喜びはない。

私、矢崎は、磁気治療の普及を「使命」と思っております。
なぜこのような使命をもつようになったのか、
それには二人の方との出あいがあります。

一人は磁気治療研究の第一人者だった
医学博士 中川恭一先生

もう一人は交流磁気治療器を開発者した
石渡弘三氏です。

残念なことにお二人とも故人です。
が、幸いなことに私は生前お二方から直接
磁気治療について指導を受けることができました。
かたや研究者として、かたや開発者として
お二人は最後の最後まで磁気治療の普及に
命を燃やし続けました。

中川恭一先生の功績につきましては
磁気治療の歴史ならびに磁気治療の種類の方で
紹介してまいりますが
ここでは、交流磁気開発者 石渡弘三氏の
ラストメッセージをお伝えしたいと思います。

交流磁気治療の本!2013年1月25日発売

アマゾンからご購入いただけます。

「磁気治療が好き!ー心にも体にも優しい免疫も高まるエネルギー療法」
日下史章先生 上村晋一先生著
永野剛造先生 要明雄先生 川本和久先生にもご協力いただきました。
コスモの本より  1200円+消費税