痛みの専門家 仲野義康先生に冷え性についてお話を伺いました。

■仲野義康(なかのよしやす)
昭和14年横須賀に生まれる。昭和39年三重大学医学部卒業・三重大学病院胸部外科入局。その後、東京白十字病院・北里大学病院麻酔科・国立療養所神奈川病院、麻酔科医長・横浜桐峰会病院を経て、昭和60年仲野医院開業。現在に至る。

西洋医学には冷え性という病名はなく、
東洋医学との間に、大きな差がみられるところです。
漢方には冷え性に効くものがあり、これは同時に「しもやけ」の薬でもあります。
私は冷え性を考えるにあたって、これがヒントになると思っています。
「しもやけ」のメカニズムが分かれば、冷え性も分かるということです。

「しもやけ」とは、ある一定の冷たさが原因となり、
末梢循環が悪くなったときに起こる症状です。
寒くなると人間は、血管を収縮し体温が放出されるのを防ごうとします。
そこで末梢の血流が犠牲になる訳です。
つまり冷え性とは、そうした調整能力が日常生活で落ちている。
もっと言えば、自律神経に破綻をきたした病気ではないかと考えています。

冷え性の人は、足が冷たくなるのは確かですが、
必ずしも絶対的に体温が低い訳ではありません。
むしろ、上半身と下半身のバランスが崩れている方が多いのです。
これは自律神経のバランスが壊れているからであり、
結果として血液循環そのものが悪いとも言えます。

ただ、冷え性の中には、絶対温度が低いことが原因で起こっているものもあります。
「私は体温が低くて、35℃くらいしかないの」という人もいますが、
「それは病気だよ」と教えてあげます。
人間は恒常性を持った動物ですから、体温は自分で調節できるのが当たり前。
極端に低い場合は、そちらの治療からはじめなければなりません。

生理不順や生理痛がある人も、こちらから先に治さないと、冷え性は良くなりません。
このほか、クーラーをはじめとし、外気温の影響を極端に受けやすい人もいます。
一口に冷え性といっても、さまざまなタイプがあるので、その点には注意が必要です。

冷え性は上半身と下半身のバランスが崩れているという話をしました。
それに関連して、ひとつ私の経験をお話しておきましょう。
事故や病気などの重傷度を、簡単に見分ける方法があります。
緊急手術という場合は、患者さんがどんな状態にあるのか、
瞬時に判断しなければなりません。
そのとき私は、どうやって患者さんの様子を診ていたと思われるでしょうか。

答えは、手と足を触って、両方の温かさを比べてみるのです。
健康なときは、手も足も両方温かいのですが、ショックを受けて重篤な状態になると、
人間はまず足の方から犠牲にします。
つまり手と比べて、足の温度が低いほど、深刻な状況と判断できる訳です。
同じようなことが、例えば寝たきり老人にも起こります。
床ずれができるのは、循環が悪くなり、末梢から犠牲にされていくからです。

人間が足から犠牲にするのと、冷え性で足が冷たくなるのも、
基本的には同じ仕組みと考えてください。
冷え性の人は、肩こりや腰痛など、さまざまな痛みを訴えますが、
それも私に言わせれば当然のことです。
もともとの原因は自律神経のバランスが崩れ、
循環が悪くなったことにより起こっているのですから、
足の次は肩、次は腰と、順番にいろんなところを犠牲にしているだけなのです。

アレルギーにも共通しますが、人間を痛めつけているのは、
ほとんど交感神経の仕業です。
もちろん、人間が自分を守るために備わっている大切な機能ですが、
ストレスの多い現代社会では、交感神経が過剰反応を起こしやすくなっています。
バランスが崩れているというのは、そういう意味を含んでいますので、
治療は根本的に血流を改善し、自律神経のバランスを整えなければなりません


交流磁気治療器をかけると、末梢の血液循環を改善してくれるので、
冷え性に効果があることは概念的に理解できます。
治療器を使ったあと、冷たかったところに温かさを感じるというのが、
何よりもの証拠になるでしょう。
理屈ではなく、その実感こそが良くなっている過程でもあるからです。

当院では患者さんに交流磁気治療を行うとき、レーザー治療を併用することがあります。
何をしているかというと、交感神経の働きをブロックするのです。
こうすれば当然、血管が広がり、自然と血流は良くなります。
ある意味では神経をだます治療方法ですが、
血流の良い状態に保てばいいと、体に覚え込ませていく訳です。
治療器の効果が持続する時間には限りがあるため、
繰り返しやっていくことで、根本的に血流を改善するよう努めています。

血液循環が悪い人というのは、簡単に言えば疲れているんです。
そういう人ほど、よく動き回って、真面目な性格の人が多いと感じます。
この真面目というのが、実はとても厄介で、
ここから治さないといけないというのが私の持論です。
最初に言った、上半身と下半身のバランスが崩れるというのも、
もともとは性格に起因するところが少なくありません。

私は真面目な人間ほど、楽をして生きてると思います。
自分で考える必要がないのですから、応用するという難しいことをしなくて済みます。
真面目な人ほど口癖のように、「間違ってないよね」と言います。
確かに間違っていませんが、間違わないことが、人間としては間違いなのです。

人間は神様ではないのですから、何もかも完全にできるなんてことはあり得ません。
人間なんですから、いい加減でいいじゃないですか。
神様になろうとするのは、神様を知らないからです。
私は神様を知っているので、いい加減でいいと思っています。
それよりも、いい加減な人間について、もっと知ろうと努力すべきです。

冷え性だって、すべてを真面目にやろうとしている、
あなたの性格がつくっているという面もあります。
肉体をまったく無視して、頭だけで生きようとしている。
だから、いろんなところが犠牲になって、体中から悲鳴があがっているのです。

ストレスに起因する、交感神経の過剰反応から体を開放してやるには、
以前「眠り」のときにお話した、筋肉のリラックス法が効果的です。
全身の力を抜いて、体をリラックスさせる方法を身につけるといいでしょう。
そして人間らしく、いい加減に間違いながら生きていくことです。

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