「痛みの専門家」として名高い仲野義康先生ですが、今回は漢方も使っている医師として
風邪について語っていただきました。

 ■仲野義康(なかのよしやす)
昭和14年横須賀に生まれる。昭和39年三重大学医学部卒業・三重大学病院胸部外科入局。その後、東京白十字病院・北里大学病院麻酔科・国立療養所神奈川病院、麻酔科医長・横浜桐峰会病院を経て、昭和60年仲野医院開業。現在に至る。

「かぜをひきました」と言えば、普通の西洋医学の医者は、
「かぜですね。分かりました」と言って診察を始めます。

漢方を使う私の場合はちょっと違って、最初に「どうして、かぜをひいたの?」と聞きます。
患者さんはびっくりしますが、それが狙いです。
その人が毎日、どんな生活をしているのか、私は知りたいのです。

日常生活の中に、必ず原因があります。
例えば寝不足であったり、忙しすぎる、ストレスといった要因を、
患者さんとの対話から探っていきます。

かぜは単に症状を治せばいいものではありません。
むしろその人に与えられたサインであり、体の警告灯みたいなものだと、
私は考えています。これは以前にもお話した「痛み」とよく似ています。
体があなた自身にブレーキをかけ、訴えている声です。
その声に耳を傾け何かを学び、生活を改めなければなりません。

かぜの原因はウイルスで、免疫力が落ちたときにひきます。
1年に2回くらいなら普通でしょう。
しかし、2〜3カ月ごとに、かぜをひくのなら、
生活を根本的に見直す必要があります。
普通の生活をしていて、頻繁にひくのであれば、
それは体力がないということです。
体力がない人には、体力をつけてあげればいいのですが、
西洋医学では栄養を摂れとしか言いません。
漢方は全くとらえ方が違いますから、体力をつけてあげることができます。

もう一つ、かぜには段階があります。
これは漢方医なら分かっていることです。
一般的にかぜは、最初に肩のハリを感じ、
次は鼻、のど、気管支、お腹という順番で進みます。
最初の肩の段階で飲むのが「葛根湯」で、ここなら治りますが、
先に進行している場合は、違う漢方を使います。
私の場合、10種類くらいの漢方を使い分けています。
症状の進行だけでなく、体質や生活習慣も考慮します。

西洋医学でかぜ薬を出すのは簡単です。
基本的に一つしかないからです。
その中身は市販のかぜ薬と、ほとんど同じものです。
要は解熱剤なのですが、飲む人の体力によって効果が違うことを、
まず最初に知っておかなければなりません。

東洋医学では、人間の体質、体力を「実証と虚証」の二つに分けて考えます。
体力のある実証の人は、市販薬で治ります。
薬でなくても、玉子酒や、うどんに唐辛子で治る人たちです。
しかし、体力がない虚証の人が解熱剤を飲むと、逆に悪化させてしまうことがあります。

体の弱い人は、鼻や喉にウイルスがとどまらず、
気管支やお腹など、どんどん奥へ入っていきます。
あるいは順番どおりに進まず、いきなり気管支やお腹にきたりします。
こういう人は、同時に体力をつけないと、根本的にかぜを治すことにはなりません。
かぜ薬は実証の人、体力がある人の飲む薬です。
実証の人は飲まなくても治る訳ですから、結局、かぜ薬はいらないことになります。

そもそも薬でかぜを治そうなんて、おかしな考えです。
頭が賢くなったり、勉強できるようになる薬があるでしょうか。
あくまでも生活が治すのです。
そこでは、モノの考え方からはじまり、人生観が問われてきます。

先ほど述べたように、かぜは肩のハリや凝りからはじまります。
要するに、肩のうっ血ですから、それを普段からとっておくのは、
かぜを予防するうえでも大切なことです。

さらに大切なのは、体を使ったら、元に戻す習慣です。
使いっ放しという人が、あまりも多いのですが、貯まった疲労は、
その日のうちに必ず回復させるよう、心がけてください。

その点、毎日、交流磁気治療器を使う習慣を持っている人は、
体を元に戻すことができています。
かぜをひいてからでは遅いので、普段から使って、
体の免疫力を高めるようにしましょう。

元に戻すというのは、つねに中庸をめざす、漢方と同じ考え方なのです。
東洋医学では頑丈で体力があって、真っ赤な顔をしている人も病気とみなし、
体力を減らす漢方もあります。

健康管理と称して、運動をしている人が多いのですが、
これも体を元に戻すことが大切です。
日本人は言葉に弱く、エアロビクスや水泳など、運動をやり過ぎている人がいます。
これが原因で過労になり、かぜをひくことも少なくありません。
私が診ている限りでも、30〜40代の主婦や、
余生を楽しみ過ぎている初老の方に、よくあるパターンです。

そもそも運動をして健康になるのなら、オリンピック選手はどうでしょうか。
あんなに不健康なものはないと思います。
あくまでも適度な運動であり、それも使ったら元へ戻さないと逆効果になります。

交流磁気治療器を毎日使い、その日の疲れは必ずその日のうちに解消し、
次の日へ持ち越さないようにしてください。

一口にかぜといっても、ものすごく広い概念です。
人それぞれの生活様式などが背景にあり、原因もさまざまです。
治療の仕方も、その人の体質や、症状の進行具合によって変わってきます。
さらに年齢によって、かぜの意味も異なります。

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①自然に治るもので、かぜ薬で治るのではない。

②普通は3〜7日で治るが、14日程度かかる場合も。

③ほとんどがウイルス感染。
ただし、インフルエンザを除いて、
有効な抗ウイルス薬は存在しない。

④抗菌薬(抗生物質)はかぜに直接効くものではない。

⑤抗菌薬を乱用すると、下痢やアレルギーの副作用や薬が効かない 耐性菌を生み出す危険がある。

⑥かぜ薬は、症状の緩和が目的の対症療法にすぎない。

⑦多くのかぜ薬、特に総合感冒薬は、連用すると発疹(ほっしん)や発熱、 胃腸障害など副作用の危険が
ある。

⑧発熱は体がウイルスと戦っている免疫反応で、 ウイルスが増殖しにくい環境を作っている。

⑨解熱・鎮痛薬は、症状が激しい場合にのみ頓服として使う。 アセトアミノフェンなど作用が穏やかな薬が推奨される。

⑩十分な食事が取れない時や消化性潰瘍(かいよう)がある人、 アスピリン喘息(ぜんそく)、腎不全の人はアスピリン、 イブプロフェン、ナプロキセンなどの解熱・鎮痛薬は飲んではいけない。

⑪症状の持続(4日以上)や悪化が見られる時は医師の診断が必要。

⑫予防にはうがい、手洗いが有効。うがいには殺菌効果がある ポビドンヨード(イソジン)が望ましい。

⑬発症時、特に発熱時に最もウイルスをうつしやすい。

「成人気道感染症診療の基本的考え方」より

※薬でかぜが治らないことは、現在の医学でも常識となりつつあります。読売新聞(2004年11月12日付け)報道によると、日本呼吸器学会が、新しい診療の指針を打ち出しています。

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