今回は大沢眼科の大沢満雄院長に
白内障について、
お話していただきました。

前回は、目の老化についてお話しました。 水晶体の弾力が失われてくるのが老眼でしたが、 その水晶体がだんだん濁ってきた状態が白内障です。 進行すると外からの光が目の奥まで到達しにくくなり、 最後には何も見えなくなってしまいます。

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水晶体はカメラでいうと、レンズに相当します。
目に入ってきた光を水晶体で屈折して、網膜にピントを合わせる働きをしています。
白内障は老化と密接に関係しており、年齢が高くなるにつれて増えてきます。
程度の差はあれ、80歳以上になると、ほぼ全員が白内障になります。
このように、白内障は誰にでも起こる病気です。
40代でも30%に見られます。
一般的に40代、あるいは50代で始まる病気といえます。
白内障は原因によって、いくつかの種類があります。
ただ、圧倒的に多いのは、加齢以外にこれといった原因が見つからない「老人性白内障」です。
今回はこれを中心に解説しましょう。

白内障には、「かすむ」「まぶしい」「暗い」など、さまざまな症状があります。
目のかすみは、老眼の症状と似ているため、自分では老眼と思っていても、
実は白内障であったということがあります。
老眼鏡を正しく合わせても、物がかすんで見えるのが白内障の特徴です。

老人性白内障は、水晶体の濁り方によって3つのタイプに分けられ、
それぞれ症状も異なります。

1 皮質白内障

水晶体の端から濁ってくるのが特徴で、老人性白内障に最も多いタイプです。
濁りが周辺部にとどまっているうちは視力低下もありませんが、
進行して病変が中心にまで及んでくると、視力が低下してきます。

2 後嚢下白内障

水晶体の後ろ側から濁ってくるタイプです。
50歳ぐらいの比較的若い人に多く、濁っている部分は光が通過できないため、
初期段階から視力低下や目のかすみ、まぶしさといった症状がみられます。
逆に暗いところでは瞳孔が開き、濁っていない部分から光が入るため、
比較的よく見えることがあります。
糖尿病の患者さんに多くみられるのも特徴です。

3 核白内障

水晶体の中央から、黄色や褐色、または茶色く濁ってきます。
長い年月にわたって徐々に進行するタイプで、70〜80代の高齢者に多くみられます。

以上の3タイプは、単独で起こるというより、多くの場合いくつかが重なって起こります。
中でも後嚢下白内障は、放置しておくと2〜3年で水晶体全体が真っ白に濁り、
重度の視力低下が起こる「全白内障」になることもあり、とくに注意が必要です。

水晶体は体の中で、最も早く老化が現れる器官と言われます。
42〜43歳から老眼、つまり水晶体の老化が始まります。
生化学的には、水晶体の蛋白質であるクリスタリンが、
水溶性から水に溶けない不溶性に変化した状態が白内障です。
こうした変化が起こるのは、活性酸素による酸化作用、紫外線、
放射線、薬物、喫煙、アルコール、遺伝子といった多くの要因が、
複雑に絡みあい発生すると考えられています。

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治療法には、薬物及び交流磁気治療と手術療法があります。
症状や白内障の程度によって選択します。
視力がある程度低下しても、日常生活にそれほど支障がなければ、
多くの場合、点眼薬などの薬を使って様子をみます。
あくまでも進行を遅らせるという目的で使用されます。

生活に不自由を感じるようになったり、仕事に差し支えるような場合は、手術を行います。
現在、白内障の手術は、濁った水晶体を取り出し、代わりに人工レンズ(眼内レンズ)を入れます。ほとんど局所麻酔で行い、平均10〜20分ほどで終わります。
患者さんの負担も軽くなっており、当院では95歳の患者さんを手術したこともありました。

手術は次のような手順で行われます。
まず、強角膜を3ミリほど切開し、水晶体の前面の膜(前嚢)を、直径6ミリくらい円く切り取ります。次に、超音波で水晶体を細かく砕きながら取り出し、
その後に軟らかい人工レンズを折りたたんで3ミリほどの創から挿入します。
傷口が小さいので、創を縫合する必要はありません。

これは「小切開無縫合水晶体乳化吸引術」と言われる方法で、
術後の安静の程度が軽いだけでなく、乱視が少なく視力回復も早くなったのです。
当院では26年前の開院時から、白内障の日帰り手術を行なってきました。
極度に進行し水晶体を砕けないような場合を除いて、
ほとんど超音波を使用して手術を行っています。
ただし、糖尿病の患者さんについては、白内障の手術が成功して良く見えるようになっても、
糖尿病性網膜症のため視力が落ちてくることがありますので、糖尿病の管理が必要です。

以前のレンズは、プラスチックの硬い素材が主流でした。
しかし近年、シリコンやアクリルソフトなど軟らかい素材が開発され、
3ミリほどの創から、折りたたんで挿入することが可能になりました。
創が小さくてすむため、安全性も飛躍的に高まったのです。

眼内レンズは調節力が無いので、どこか一カ所にピントを合わせるよう、レンズの度を決めます。従って手術したあとも眼鏡が必要でした。
しかし最近は、眼鏡なしで遠くも近くも見える「多焦点眼内レンズ」が使われ始めています。
将来は精度の高い、多焦点レンズが開発されるようになるでしょう。

当院では、多くの患者さんに目の交流磁気治療を行っています。
交流磁気治療により目の血液循環を改善することは、白内障の治療に効果的です。
また白内障手術当日は手術を終えた患者さんには全員、
交流磁気ベッドにより治療を行っています。

白内障は誰にでも起こりうる病気で、老化と密接に結びついています。
ですから、日頃から目をいたわることはもちろん、
食をはじめとした生活習慣について、気をつけなければなりません。
最も老化が早く現れる目だからこそ、あなたの健康のバロメーターでもあるのです。

1.先天性白内障(生まれた時にすでに白内障、または幼児期に出現)
2.併発白内障(ぶどう膜炎に併って起こる)
3.糖尿病性白内障(糖尿病が原因)
4.ステロイド白内障(副腎皮質ホルモンの副作用で起こる)
5.外傷性白内障(眼を打撲したり、水晶体を傷つけたりした時に起こる)
6.放射線白内障(治療用の放射線が眼にあたった時などに起こる)
7.アトピー性皮膚炎に伴う白内障(若い人に多い、網膜剥離を伴うことが多い)
8.老人性白内障(加齢以外に、これといった原因が見つからない白内障で、圧倒的に多い)

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