仲野義康先生に「睡眠」ついて語っていただきました。

■仲野義康(なかのよしやす)
昭和14年横須賀に生まれる。昭和39年三重大学医学部卒業・三重大学病院胸部外科入局。その後、東京白十字病院・北里大学病院麻酔科・国立療養所神奈川病院、麻酔科医長・横浜桐峰会病院を経て、昭和60年仲野医院開業。現在に至る。

睡眠障害に悩む人は増えていますが、そもそも人間にとって睡眠とは何なのか、
根源的なところからお話しましょう。
眠りを知るためには、体の生理学と、その中心にある血液循環を理解しなければなりません。
人間が天寿を全うし、枯れるように亡くなることを「老衰」と言いますが、
これは血管が詰まり、循環が止まってしまうことなのです。
つまり、人間はどんなに生きても、最後は詰まってしまいます。
生きているのは、循環しているからと言い換えてもいいでしょう。

私は血液循環がすべてと考えていますが、当たり前の発想が西洋医学には抜けています。
根本的に血液循環を改善する薬はありません。
そもそも、全身の循環を良くする発想がないのです。
さらに言うと、動脈循環を重視し、静脈循環はほとんど無視されています。
東洋医学には「お血」という考えがあります。分かりやすく言うと、血の巡りが滞った状態です。

下水溝をイメージしてください。もし詰まったとしたら、
ジャブジャブと水を注いで流そうとするでしょうか。
貯まっているゴミを取り除いたら、スッと流れだします。
静脈を含めた循環を良くするというのは、そういうことです。
漢方には抗お血剤があり、この点は東洋医学の方が優れていると思います。
血液循環が良くなると、体の隅々まで栄養を運んでくれると同時に、
汚いものを持っていってくれて、体に溜め込まないのです。

私が治療に使ってきて確信しているのは、交流磁気が静脈循環にも作用していることです。
動脈に比べると、静脈の血流量を測定するのは難しく、
ほとんどデータがとれません。
だから西洋医学では、あまり触れようとしないのでしょう。
それでも私が静脈循環に作用していると確信したのは、
交流磁気をかけると、痛みを感じる人がいるからです。
正確に言うと、悪かった血液循環が改善される過程で「張り」を訴えているのですが、
抗血剤のような漢方薬と同じ作用を、交流磁気治療器は持っています。

こうした働きは、単なる磁石では期待できません。
磁場が変動する交流磁気だから、さまざまな症状に対して効果を発揮します。
私は血液循環が原因となって起こる症状には、
すべて交流磁気治療が有効に作用すると考えています。

一つ例をあげましょう。
膵臓炎という病気があります。
これはタンパクを分解する酵素が、表へ出るために痛みを感じます。
いま膵臓炎に使われている薬は、出てくる酵素とカップリングさせるだけで、
膵臓に作用してる訳ではありません。
私は膵臓の血液循環の悪化を原因と考えますので、
患者さんに交流磁気治療を行い、成果をあげてきました。

当院の交流磁気ベッドに寝ていただくと、20分くらいで眠くなり、
そのままイビキをかいている人もいます。
循環が良くなれば、体が温まって眠気を感じるのは当たり前のことですが、
当然のことが今の医学では軽視されているのです。

前提となる血液循環を説明しましたので、本題の「眠り」に入りましょう。
人間の血液循環で中心となるのは、言うまでもなく心臓です。
心臓は収縮して、血液が一方向へ流れるようにできています。

実は心臓は一つだけでなく、いくつもあるのです。
もちろん心臓という臓器は一つですが、
心臓の構造を持ったものは、例えば足にあります。
足の筋肉がその役割を果たしていますが、静脈に弁があり、
歩くことで収縮すると、血液が圧迫されて上へ流れ出します。

もう一つ、常識では考えられない話をしましょう。
皆さん、いつも心臓は休まないで、働き者だと思っているでしょう。
しかし、心臓ほど100%休む臓器はないのです。
心電図を見たことあると思いますが、心臓は収縮したあと、蹴飛ばしても、
刺激しても収縮しない時期があります。

私はこれこそが、人間のエネルギーの源だと思っています。
心臓は完全にリラックスした状態なのです。

では、リラックスとは何か。
これを誤解している人が多いと思います。
もう一度、言います。
心臓は収縮したあと、筋肉が完全に緩みます。

ここがポイントです。

筋肉がだらりとなった状態を、リラックスと言います。
よく気持ちをリラックスさせろといいますが、あれは嘘です。
筋肉がリラックスするから、精神もリラックスするのです。

筋肉がリラックスしない状態で眠り続けた人は、
目が覚めても、絶対にすっきりしません。
筋肉を緩めて全身を脱力しないと、良い睡眠はとれないのです。

ここまで説明したら、眠れない理由も分かるでしょう。
不眠の人ほど、寝ようと努力します。
そうすると必ず頭が冴えます。
「先生、寝ようと頑張っているのですが」と言う人がいます。
私から見ると不思議で仕方ありません。
一生懸命に頑張ったら、眠れないのは当たり前です。

リラックスするためには、力を抜くのですが、
意外に難しくて、訓練しないと簡単にはできません。
が、ここでは考え方を説明しておきましょう。
逆説的な言い方になりますが、力を抜くためには、力を入れるのです。

これには、きちんとした根拠があって、以前に読んだ本がベースになっています。
内容はこんな感じでした。
朝鮮戦争のころ、アメリカ軍の落下傘部隊で、心筋梗塞の割合が非常に高くなったそうです。
原因は分かりませんでしたが、20代の若者が次々に亡くなっていくことを憂慮し、
真相の究明が始まりました。
ここがアメリカの凄いところで、徹底的に検証して、
ストレスが原因であることをつきとめました。
確かに戦場での特殊任務ですから、パラシュートが開かなかったらどうしようとか、
いろんなストレスがあったでしょう。
そこから軍は、兵士をストレスから開放し、リラックスさせる方法を考えました。
それが、力を抜くために、力を入れることだったのです。

訓練してリラックスの方法を身につけた人は、高血圧に悩んだりすることもないでしょう。
ストレスと言っても、すべてが悪いものではありません。
なるべく頭をフリーにしておくことです。
何も考えない時間が大切なのです。
不可能なことには、頭を使わない――。

これが悪いストレスと決別し、人間らしく生きるためのヒントです。

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「磁気治療が好き!ー心にも体にも優しい免疫も高まるエネルギー療法」
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永野剛造先生 要明雄先生 川本和久先生にもご協力いただきました。
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