国立筑波技術短期大学 名誉教授 西條一止先生に
うつ病の場合、どのように磁気治療を活用できるか
その可能性についてお話を伺いました。
うつ病は国際的に気分障害、あるいは感情障害という名称で呼ばれており、
素質や遺伝の影響は無視できないものの、現時点では原因不明と言わざるを得ない
内因性の病気です。
生涯有病率は男性が5〜12%、女性は10〜25%とされ、女性の方が2倍も多くなっています。
典型的な症状は、
①気分の障害(落ち込み・憂うつ)
②意欲の障害(気力の喪失・興味関心の低下)
③思考の障害(判断力の低下・悲観的な思考)
④身体の障害(不眠・食欲低下)
というふうに、4つに大別されています。
このうち、うつ病の基本障害は①の気分の障害です。
気が滅入る、気が沈む、鬱陶しいなどと表現され、その深刻さにも様々な段階があります。
こうした気分の落ち込みは誰しも経験するものですが、うつ病には明らかな違いがあります。
まずは持続する時間で、通常は1日以内、長くても2〜3日程度ですが、
うつ病の場合は1〜2週間も落ち込みが続きます。
また、誰にもある落ち込みには原因があり、その消失や対処法が見つかることにより解決します。
しかしうつ病の場合は、落ち込みとの間に因果関係が見当たりません。
落ち込みを自ら表現しているうちはいいのですが、重症になると言葉にできず、
姿勢がうつむき加減になったり、動きが乏しく暗い表情になるなど、動作や態度に現れてきます。
このような状態を「抑うつ気分」と言い、午前中に強く現れるのが一般的で、
夕方から夜にかけて楽になるといった日内変動があります。
抑うつ気分は、ある日突然はじまったり、回復するのではなく、
変動を伴いながら良くなったり、悪くなったりを繰り返します。
| うつ病の磁気治療
次は②の意欲障害、および③の思考障害を解説しましょう。
以前は楽しみにしていた趣味などに、興味や関心がなくなるのは、
うつ病で必ず現れる症状です。
思考と行動が共に億劫になり、何かに取りかかろうとしても時間がかかる、
考えながらやることや初めての仕事ができない、
考えが浮かばない、判断できないなど、精神運動の低下を示します。
さらに症状が悪くなると、自責の念にかられマイナス思考が強くなり、
妄想が現れることもあります。
自信を失い「自分はもうだめ」などと口にしたら危険な兆候です。
うつ病で自殺念慮を抱く割合は40〜70%にも達し、
不幸にも実行してしまうのが15%というデータもあります。
後に詳しく述べますが、うつ病では家族の支えが重要になり、
まわりの力で自らを傷つける行動を防がなければなりません。
④の身体障害は、代表的な症状と出現頻度を次に示しました。
最も多くみられるのは睡眠障害です。
眠りにつけない、ぐっすり眠れない、何度も目を覚ます、早く目が覚めるなど様々で、
悲観的なことをくよくよ考え込みます。
このほかにも消化器系や循環器系、呼吸器系から痛みに至るまで
幅広い症状を訴えますが、うつ病だけに特有なものはありません。
こうした身体障害が、うつ病の初期症状を示すことはあるものの、
身体疾患とは分けて考える必要があるでしょう。
| うつ病の磁気治療
1.朝いつもより早く目が覚める
2.朝起きたとき、陰気な気分がする
3.朝いつものように新聞、テレビを見る気にならない
4.服装や身だしなみにいつものように関心がない
5.仕事に取りかかる気になかなかならない
6.仕事に取りかかっても根気がない
7.決断がなかなかつかない
8.いつものように気軽に人に会うことができない
9.何となく不安でいらいらすることがよくある
10.これから先やっていく自身がない
11.「いっそこの世から消えたい」と思うことが最近はよくある
12.テレビがいつものように面白くない
13.さびしくて誰かそばにいてほしいと思うことがよくある
14.涙ぐむことが多い
15.夕方になると気持ちが楽になる
16.頭が重かったり痛んだりする
17.性欲が最近は落ちている
18.食欲も最近は落ちている
(笠原嘉:軽症うつ病.講談社現代新書より)
| うつ病の磁気治療
症 状 | 出現率(%) | 症 状 | 出現率(%) |
睡眠障害 | 82〜100 | めまい | 27〜70 |
疲労・倦怠感 | 54〜92 | 耳鳴り | 28 |
食欲低下 | 53〜94 | 感覚異常 | 53〜68 |
口渇 | 38〜75 | 頭痛・頭重 | 48〜89 |
便秘・下痢 | 42〜76 | 背痛 | 39 |
悪心・嘔吐 | 9〜48 | 胸痛 | 36 |
体重減少 | 58〜74 | 腹痛 | 38 |
呼吸困難感 | 9〜77 | 関節痛 | 30 |
心悸亢進 | 38〜59 | 四肢痛 | 25 |
性欲減退 | 61〜78 | 発汗 | 20 |
月経異常 | 41〜60 | 振戦 | 10〜30 |
頻尿 | 70 | 発疹 | 5 |
| うつ病の磁気治療
うつ病の患者さんは、心身が疲れ切っています。
まずは、この心身の疲れを回復させてあげるのが、何よりも大切です。
そのためには無理に励ますことなく、規則正しい生活を送れるよう支援して、
確実に服薬を続けるとともに、心身とも休養できる環境を整えなければなりません。
これにより崩れた自律神経のバランスを回復させ、全身の自然治癒力を高めることで、
うつ病と対峙する体力をつけていくのが治療の基本です。
交流磁気治療は、生体に温かな刺激を与えます。
体の深部まで伝わる磁気は、生体内で発生する電気を刺激し、
1秒間に50回、または60回ほど変化させます。
つまり適度な時間、細胞や組織の機能を揺さぶることにより、その働きを高めることが期待できます。
さらに磁気針による体表からの刺激も、体の緊張を解き、体力を回復するうえで効果的です。
具体的な治療法は、次の4〜5ページにイラスト入りで詳しく示しているので、そちらをご覧下さい。
先ほど適度な時間と述べましたが、うつ病のように体力が消耗しているときは、時間の調節が重要です。交流磁気による揺さぶりの刺激は、時間が長すぎると疲れてしまいます。
従って健康な人に比べ、治療の時間は短くすべきです。
最初は5分程度からはじめ、よく様子をみて反応を確認しながら、
常に短めを意識し、少しずつ時間を延ばしてください。
うつ病の場合は、最長で15分くらいを目標にした方がいいでしょう。
| うつ病の磁気治療
うつ病の治療には、家族の支えが欠かせません。
次に家族がどう接すればよいのか、具体的な対応策を示しましたが、
まずは患者さんの話す言葉に、耳を傾けることが重要です。
良いアドバイスをしてあげようとして、話を途中で遮ってはいけません。
気持ちを十分に吐き出すことが大切であり、ひたすら聞き役に回るべきです。
なかなか話をしてくれないときは、そばにいてあげるだけでも十分です。
無理に話しかけず、優しさを持った無関心も時には必要です。
初期の段階では甘えさせてあげ、病気を受け入れるようにします。
うつ病と診断されると、気分転換で旅行に連れて行こうとしますが、
これは逆効果になると言われています。
最悪の状態を脱し、回復期にあるときも、同様に細やかな配慮が求められます。
良くなってくると、本人も動きたくなりますが、
エネルギーが十分に充電されていないため、すぐに疲れて寝込んだりします。
仮に回復が50%であったら、普段の行動は50%以下に抑えるべきで、
無理をせず疲れたら休ませるようにしてください。
同時に回復の過程では、自信を取り戻さなければならず、適度な励ましも必要です。
心身の力が低下し、活動しにくい状態では負担になるだけですが、
ある程度回復してくれば、励ましはプラスになります。
こうして家族がサポートしながら、社会復帰できそうな時期になっても決して焦らず、
本人の自信が回復するまで半年から1年かけて、ゆったりと取り組んだ方がいいでしょう。
| うつ病の磁気治療
①なまけではなく、れっきとした病気であることを認める。
②心身の休養がなによりも必要である。
③今の状態が永遠に続くわけではなく、必ず良い方向に向かう。
④つらいことがあっても、自殺だけはしないことを約束。
⑤今の段階では人生に関わる大きな決定はしない方がよい。
⑥回復過程には波があり、一喜一憂しない。
⑦服薬の重要性と副作用を理解して服薬をちゃんとする。
(笠原嘉:軽症うつ病.講談社現代新書より)
| うつ病の磁気治療
前触れもなくポロポロと落ちてくる涙 心身の落ち込みを克服し歌声も力強く
東京都千代田区在住 K.A.さま(仮名 56歳)
5人の子供を育てながら、K.A.さんは都心の半蔵門で、JAZZのお店を経営しています。お店の経営だけでなく、お店のライブでヴォーカルを務める日もあります。仕事と家庭を両立し、精力的でお忙しい毎日を送っている安斎さんも、昨年までは心と体の不調に悩まされていました。まずは最初に、40代の半ば頃から顕著になったという体の変調から伺ってみました。
「もともと肩こりがひどく、学生時代からずっと悩まされてきました。それに加えて眠れなくなり、45歳ごろから睡眠薬を服用するようになりました。薬を飲めば眠れるのですが、それも2時間程度。そのあとは、うとうとしているような感じです。薬を飲まないと、夜は全く眠れない日もあり、ひどい時にはそれが1カ月も続きました。さらに、友達から顔色が赤くなったと言われ血圧を測ってみると、上が200、下は150ほどあり、その頃から降圧剤も服用するようになりました」
こうした体の変調に加えて、不安定な精神状態が重なっていました。今となって気付くことがたくさんあるそうですが、以前からご主人に「突然きれる」と言われたり、子供たちからは「お母さんはすぐに怒るけど、後から謝る」と指摘されることもあったそうです。その頃、体験した精神的な落ち込みを、K.A.さんに説明していただきました。
「一番下の子を幼稚園に送り出すと、何の前触れもなく、ポロポロと涙が落ちてくるんです。一気に気分が沈んだ状態になって、どうしたらいいか自分でも分かりませんでした。仲の良い友達に電話して、2〜3時間、一方的に喋り続けると、どうにか落ち着いてきます」
五人の子育てをしながらも、何かやらなければならないという気持ちに駆られ、常に仕事を探してきたK.A.さん。ちょうどお店を始めたころで、心も体も疲れ切っていたのかもしれません。心身の変調がかさなり落ち込んでいたとき、たまたまリハビリ専門の病院で診察を受ける機会がありました。そこで撮ったレントゲンにより、びっくりするような病歴が判明します。
「理学療法士の方が私の首を触ったとき、すぐにこれはおかしいと言ったんです。それでレントゲンを撮ったら、以前に頚椎損傷を起こし、そのまま固まっていると診断されました。自転車通学をしていた中学生のとき、坂道で転倒したことがありました。手放し運転をしていた私が悪いのですが、頭を強く打っていたため、記憶がとぎれているところもありました。首と肩がパンパンに張って激しく痛みましたが、単なる打ち身だと思ったので、学校にもそのまま行きました。少し打ち所が違っていたら、半身不随になっていてもおかしくないほどの損傷で、よくそのまま放っておいたと驚かれました」
K.A.さんの精神的な強さがあったから、痛みに耐えられたのかもしれませんが、この頚椎損傷は長く悩んできた持病の肩こりや、不安定な精神状態にも関わっていた可能性があるようです。診断の結果、どんなことが分かったのか、安斎さんに語っていただきました。
「肩こりがひどくなると、筋肉をほぐすため、いつも首をグルグルと回していたんです。でも頚椎損傷の人は、これをやってはいけないらしく、止めるように注意されました。それと紹介された別の病院で聞いた話ですが、頚椎損傷の人の中には、うつ症状のような傾向になるらしく、よくあることだと言われました」
10年に一度くらいしか風邪をひかず、もともと健康に自信を持っていたK.A.さんが、こうした心身の不調に悩まされ交流磁気治療を体験したのは、ご主人からの勧めでした。そのご主人も友達に教えてもらったそうですが、言われたら何でも試してみたくなるという安斎さんに、サロンで体験した全身治療の感想を伺ってみました。
「昨年の3月くらいだったと思いますが、最初に体験したときに、肩がものすごく痛くなったんです。好転反応だと説明され、その場をなんとか我慢して治療を終えました。2回目か3回目のとき、交流磁気をかけ終わったあと、肩の凝りが少し和らいだように感じました。そのとき、自宅でも治療してみようと決心し、すぐに治療器8台と、ふとんのセットを購入することにしました」
自宅で毎日、交流磁気治療を続けるようになって、最初に改善の兆しがみえたのは不眠でした。多くの人から睡眠薬は止めた方がいいと言われたものの、それは本当に難しいことだと安斎さんは言います。
「正直に言うと、薬を止めろと言われるたびに、心の中では腹をたてていました。良くないことは、私も分かっています。でも、言うだけなら簡単なんです。眠れないことがどれほど辛いか、本当に分かっているのかと言い返したくなります。その日も、止めろと助言されたのですが、そんなに言うなら飲まなきゃいいんだろうという気持ちで、腹をたてながら交流磁気のふとんで寝てみました。すると驚いたことに、ここ数年は経験したことがないほど、ぐっすり朝まで眠れたんです」
しばらくすると、学生のときから悩んできた肩こりにも変化が現れてきました。さらにその後も交流磁気治療を続けていくうちに、精神的な面でも安定してきたとK.A.さんは言います。
「頑固な肩こりは、なかなかとれず、初めのうち下はスッキリしているものの、首から上がむくんだような感じでした。そのむくみも2カ月ほどで解消し、あれほど凝っていた首と肩がスッキリしてきたんです。痛みと同時に精神的なイライラも落ち着いてきました。何より私の変化を、家族が感じているようで、子供からも最近は、お母さんが怒鳴らなくなったと言われます」
現在は痛風で悩んでいるご主人も交流磁気治療器を愛用し、痛みが和らいだと喜ばれているそうです。心と体の変調から開放された今年の4月にはお店を改装。その間は休業して英気を養い、7月から新装オープンしています。最後に交流磁気治療器を愛用するようになって、安斎さんが最も変わったと言う、お店でのライブについて語っていただきました。
「肩こりがなくなって、本当に力強く良い声が出るようになりました。もう睡眠薬を飲んでいませんし、心も体も健康になったことで、歌声がこれほど変わるものかと驚いています。これからも精一杯歌いますので、ぜひたくさんの人に聞いて欲しいと思います」
| うつ病の磁気治療
交流磁気治療の本!2013年1月25日発売
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「磁気治療が好き!ー心にも体にも優しい免疫も高まるエネルギー療法」
日下史章先生 上村晋一先生著
永野剛造先生 要明雄先生 川本和久先生にもご協力いただきました。
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